体外受精において採卵で卵の数が採れない、良質の卵が育たない(受精する卵が少ない、受精後の成熟が進まない)という場合、鍼灸治療では「卵を育てる」という目的で、卵巣の環境改善の治療を一定期間(4~6ヶ月程度)行います。「卵を育てる」とはどういうことなのか、卵胞の発育と照らし合わせながら、解説していきます。今日はまず「卵胞は排卵までの成長過程にどれだけの時間がかかるのか」を説明します。

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卵巣の中の卵胞は、はじめは直径約30μmの状態から、時間をかけて成長して、最後は直径約20mmとなり排卵に至ります。

成長過程で、卵子を取り囲む細胞の構成や機能を変えながら、「原始卵胞」⇒「一次卵胞」⇒「二次卵胞」⇒「グラーフ卵胞」⇒「優位卵胞」と名前を変えていきます。その間、卵母細胞の直径が大きくなり、卵母細胞の周囲を取り囲む細胞層も増えていき、全体としての大きさ(容量)も拡大していきます。大きさだけでなく、内部構造も変わっていきます。さらに、周囲を取り囲む各細胞は分化してそれぞれ必要な機能を身に付けていきます。

 

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この図は卵胞の成長を図に表したものです。最終的に排卵するための卵胞が1つ「優位卵胞」として選抜されて、排卵に向けてサイズを急激に拡大させるのは最後の10日間未満ですが、一番最初の原始卵胞が成熟をスタートさせて排卵まで到達するためには150日以上かかるといわれています。

つまり、今周期の排卵のためには5周期前から卵胞の成長がスタートしていたということです。そして、5周期の間順調な成長を遂げた卵胞が排卵に到達できるということです。

採卵で卵の数が採れない、良い卵が取れないというケースは、そこに至るまでの5周期の間のどこかで、卵の成長が妨げられていたということが考えらえます。そして「卵を育てる治療」では卵胞の成長過程を見越して、結果が出るまでに3~6周期の期間を要します。