多嚢胞性卵巣症候群 PCOS

多嚢胞性卵巣症候群は、不妊症の原因になる病気ですが、原因として一番は「排卵障害(排卵の間隔が延びたり、ほどんど排卵に至らなかったり)」により、卵子の授精機会が減ってしまうこと。そして、卵子の質の低下との関係性も指摘されています。

多嚢胞性卵巣症候群とは

健康な卵巣では概ね一定周期で排卵が行われますが、多嚢胞性卵巣症候群では卵胞の発育が途中で止まり排卵されずに卵巣に残ります。エコー検査で卵巣の中に嚢胞(袋状の組織)が多数確認できるので「多嚢胞(=小さい袋のようなものがたくさん見える状態)」となり、それが病気の名前になっています。

この多嚢胞性卵巣症候群ですが、じつは数年前の2007年に日本では診断基準が変わっています。つまり診断基準の上ではこの病気の姿が2007年を境にして変化しました。一般向けの不妊治療解説本を見ると、過去の診断基準を引きずっていて、病気の姿を誤解してしまうのでは?という記述を見かけますので、少し解説しておきます。

まず、多嚢胞性卵巣症候群によって、男性化徴候(「体毛が濃くなる」「ニキビが出る」「血中の男性ホルモンが増える」という症状)は欧米人には多いのですが、日本人では少ないです。日本人でも病気発症にアンドロゲンが関係するのは間違いありませんが、男性化徴候が出るのはレアケースです。

また、肥満と多嚢胞性卵巣症候群の関係性が強いと記載しているのも見かけたことがあります。肥満が原因となる場合もありますが、痩せていても発症する方はいます。その証拠に、日本の標準的な治療方針では肥満の場合と非肥満の場合が分けられています。

インスリン抵抗性と排卵障害

多嚢胞性卵巣症候群の病気発生のメカニズムには「インスリン抵抗性」が関係しています。体の中でインスリンがうまく働かない状態を「インスリン抵抗性が高い」と言います。

インスリン抵抗性が高いと卵巣でアンドロゲン(男性ホルモン)が作られ、卵胞の発育が止まってしまいます。発育のストップした卵胞が卵巣内に残って「多嚢胞」となります。下の図で示されているように、様々な要因が複雑に組み合わさっていますが、簡潔に言うと「インスリン抵抗性が高い」ことで「排卵障害」が起こります。

PCOSの機序

インスリン抵抗性という言葉は、糖尿病の原因として聞いたことがあるかもしれません。糖尿病⇒肥満と連想したくなります。しかし、多嚢胞性卵巣症候群では、痩せている方でもインスリン抵抗性に問題のあるケースがあり、多嚢胞性卵巣症候群のインスリン抵抗性は、肥満とは必ずしも結びつかないようです。

また、アンドロゲン(男性ホルモン)が卵胞の成長を止めてしまうことも書きましたが、日本人の多嚢胞性卵巣症候群では「男性化徴候」をもたらすほどではないようです。

インスリン抵抗性と卵子の質

排卵障害以外にも、多嚢胞氏卵巣症候群と不妊の関係性はもう一点分かってきています。インスリン抵抗性に問題があると、卵巣で作られる卵子の質が低下する可能性があります。

インスリン抵抗性の高い方の多嚢胞性卵巣では、体外受精の際に受精率や着床率が低下すること、そして、その場合で卵子提供を受けると受精率や着床率が改善することが分かっています。この結果から、インスリン抵抗性が高いと卵子の質を低下させる可能性があると言われています。(なお、日本ではこのような比較は難しいですが、海外の報告であるため提供卵子を用いた比較が可能です)

鍼灸と多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

多嚢胞性卵巣症候群ではまず排卵障害が問題ですが、鍼灸の場合は「質の良い卵胞を育てて、排卵のチャンスを確実に次のステップへ進める確率を高める」という考え方で治療を行っています。

鍼灸治療を数周期続けていると、病院の薬が効きやすくなったり、採卵の成績が良くなるケースを経験します。多嚢胞性症候群の場合でも病院の治療に鍼灸を加えることで、妊娠の確率が上がるという手ごたえを感じています。

 

参考文献

  • 海場書房 STEP産婦人科①婦人科
  • 診断と治療社 参加と婦人科第81巻7号 PCOSにおける卵胞発育障害の病態

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